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W.E.M【世界の終わる音が聞こえる】(W.E.M[World's end music])

W.E.M【世界の終わる音が聞こえる】 第4話(the heads) 01/14



 いろんなことがありすぎて、全然寝てないのに目がさえてしまっていた。だけど体がだるくて、リビングのピアノの前でぼんやりしていた。もう夜中になって、秀二と御浜は帰ったあとだったけれど。
  秀二に確認したら、オヤジは普通に東京出張に行っていたらしい。それに安心して電話で彼にも確認をした。愛里の前に現れたのは、伯母さんに頼まれたからだということを。
  愛里も意外となりふり構わずオヤジを追いかけているんだと思うと、少しおかしかった。

 彼女への思いは、以前と同じように抱いているのに、おかしいなんて思える自分がいることが不思議だった。執着し続けていることは事実なのに。

「テッちゃん、まだ起きてたの?」

 夜が明け始めたころ、柚乃が帰ってきた。リビングの電気がついていることを不審に思って覗きに来たのだろう。扉を開け、声を掛けてきた。

「……今から寝ようと思ってた。オヤジがいないと思って、また朝帰りかよ」
「テッちゃんなんて、パパがいても朝帰りじゃない。パパそっくり」
「……お前ってさ」

 自分の中に、何も見つけられなかった。いろんなモノ抱えすぎて、わけが判らなかった。答えが出なかったし、出したくなかった。
  だけど、他のヤツが何を抱えてるか、気になった。

「なんで、御浜のこと追っかけてんのに、そうやってふらふら遊びに出かけるかね?男もいるんだろ、どうせ」
「テッちゃん、下世話ー」
「たまにまじめに聞いてんだから、応えろよ」

 寝てないオレの目つきが怖かったのか、柚乃は言葉を詰まらせた。だけど、扉からリビングに入ろうとはしなかった。

「らしくないよ?そう言うこと、見ないフリする人だと思ってた」

 うちの妹は、やっぱり手厳しい。そんな風に思ってたわけね。

「まあ、面倒だけど。参考までに」
「何よ、参考って。何かあった?」
「別に、良いから」

 しつこいな、とぼやきながらも、彼女はちょっとだけ怒ったような口調で応えた。

「どうしようもないことって、あるでしょ?御浜さんて、ティアスのこと好きだし。そうだとは言わないけど。だからって、簡単にあきらめることも出来ないし。だけど、それだけだと私、ティアスのこと恨んじゃうからさ。あの人自身は嫌いじゃないのに。どうしようもないのよ」
「だから遊ぶんだ?」
「暗くなるのがいやなだけ。何もかも、綺麗にその通り、次から次へと切り替えられたら、楽チンだと思うけど、出来ないんだもん、仕方ないじゃない。そう言う強い人、私はむかつくな?誤魔化して何が悪いの?」
「開き直りか?」
「うん。でも、御浜さんなら許してくれる気がする」

 それは、やっぱり端から聞いていても、御浜という人間に甘えている気がする。でも、彼女はそれで良いじゃないかという。

「例えば、オレが同じコトをしていたとしたら?」
「仕方ないんじゃない?」

 ずるい気もするけど、納得できてしまったのは、自分に甘いからだろう。オレも、彼女も。

 少しだけ眠ろうと思った。眠ったら、また彼女に連絡しよう。
 

 

 愛里がいなかったのもあったかもしれない。

 結局クリスマスのあの日以来、彼女はいつものようにどこかへ旅立ったらしい。オヤジが伯母さんからそう聞いていたようだ。冬休みの間、彼女とは連絡を取ることもないのだろう。現実の彼女を目にすることはなかった。

 おそらく、だからなんだろう。自分でも驚くくらい、自分の中でティアスとの距離が縮まっていくのを自覚していた。ただ、あくまでもオレの中でだけなのだけれど。
  オレの中でだけ済ませたくなくて、自分でも驚くくらい、必死に彼女と連絡を取った。いままでも、ほぼ毎日連絡だけはとっていたけれど、なるべく会うようにした。
  お互いに言葉にはしなかった。だけど、縮んでいく距離がオレの錯覚だとは思えなかった。彼女が隣にいることに、違和感がなかった。

 ただ御浜の前で、彼女と一緒にいることだけが辛かった。辛いって判ってるくせに、そのことに困ってるくせに、それでも彼女への連絡をやめるどころか増やしていく。そんな自分のことを罵る自分がいるくせに、もうどうしようもない自分がいるのも辛かった。
  ティアスもまた、御浜とは距離が近い。彼の距離の取り方なら当然の結果だろう。真がさりげなく、御浜の背中を押しているのも知ってる。

 だけど、誰かと誰かの関係とか、思惑とか、そんなものより、自分の中が遥かにぐちゃぐちゃだった。
  新学期が始まり、休みが違うから帰ってこないと判っているのに、いつものようにいつものスタバの喫煙席で、彼女を待ち続けている自分自身がよく判らなかった。

「テツ、何してるの?今日はレッスンなの?」

 当たり前のようにオレの隣に座ったのはティアスだった。あからさまに驚いた顔を見せてしまったけど……。

「なによ、嫌そうな顔」
「いや、別にそう言うわけじゃ……」
「佐藤さんとの仲なんて、邪魔しないわよ」

 なんだそれ。嫉妬か?よもや。むっとした顔で立ち去ろうとするティアスの腰を掴み、引き留め、座り直させた。

「何でそう喧嘩腰だ、お前は。早とちりだし」
「だって」
「驚いただけだろうが。お前、こんな所に来るなんて珍しいから」

 体に触れたことになのか、オレの言葉になのか、彼女は照れた顔を見せながら上目遣いでオレを見つめた。

「大学はまだ休みだから、愛里はそれまで帰ってこないし。つーか、連絡すらねえ。無責任だ」
「先生なのにね」

 椅子を寄せたら、ステンレスの足が床に引っかかって大きな音が立った。それが少しだけ恥ずかしかったが、テーブルを見つめながら彼女と膝をつき合わせた。彼女もその行為に微かに笑みを浮かべた。それに少しだけ満たされる。

「ここにいるのは何というか……日課っつーか……。うちにいると、大抵誰かいて集中できないから」
「ここだって、佐藤さんが来るのに」
「まあ、待たされるからな、いつも。そのつもりで来てるし」
「何してんの?待ってる間」
「大抵、楽譜読んでる」

 照れくさそうな顔を見せるくせに、彼女はオレをじっと見つめる。そのくせ、こちらから見つめ返すと目を逸らす。
  もちろん、今日もだった。見つめたくせに、それに気付いたオレが彼女を見ると、急いで目を逸らす。

「邪魔しちゃったかな?」
「別に。御浜や真や新島だって、オレが大抵ここにいるのを知ってるから、たまに来るし……」
「酷い!裏切り者!!沢田だけは違うって信じてたのに!」
「……相原とか……意味わかんねえし」

 オレ達の向かいに、いつの間にか相原が座って、叫ぶように文句を言っていた。突然責められても、本気で意味が判らん。

「傷心のオレをほっといて、いつの間にかこんなに可愛い彼女が!」

 思わず、ティアスを見る。端から見たら可愛い彼女か……。相原が来たっつーのに、オレも彼女も距離をとろうともしないし、誤解されてもおかしくない。むしろ、なし崩し的にこのままつき合うって言うのも有りなのでは。
  いろいろ面倒だけど。

「彼女?」
「いや、つき合ってんでしょ?君ら?」
「え?違いますよ」

 あっさり否定か!この女!!

「沢田、紹介して!つき合ってないなら!」

 そしてこの男も!なんだその変わり身。ティアスがオレの女じゃないと判った途端、射程範囲に入れやがって。
  わからんでもないけど。今までの相原の傾向からして、ティアスってど真ん中だしな。しかも、イブにふられたばっからしいし……。不愉快だけど、紹介しないわけにもいかねえか。
  簡単に否定されてるしな……。

「相原勇十です。沢田のクラスメイトで……」

 紹介する必要ねえし。勝手に始めちゃってるし。アグレッシブだな(女子に関してのみ)。

「だったら、灯路とも一緒ってこと?」

 相原が話してんのに、オレに確認をするティアスに、仕方なく頷いてみせる。どういうつもりなんだ、この女は。確かに、オレに同じコトを突っ込まれても、肯定も否定も出来ないし、したくないけど。

「とーじ?ああ、なに?新島も知り合いなの?」
「新島だけじゃなく、真も知ってるし。つーか元々、新島経由で知り合ってんだよ。新島の従姉妹なんだと。ちなみに、こんなナリしてるけど、オレらのイッコ上ね、コイツ」

 顔も見ずに指さしたら、さすがに怒り出した。

「こんなって何よ!」

 相原の前にも関わらず、彼女は怒鳴り、オレだけを見ている。

「見たまんまだろ?童顔っつーか。初めて見たとき、絶対年下だと思ってたし」
「自分は老けてるくせに」
「うるせえな。良いんだよ。オレは年を取ったら若く見えることが、オヤジで実証されてるから」
「判んないわよ?案外、年を取ったら、先生とは違う顔になるかも」
「沢田ー紹介してー!」

 だだをこねたような顔でオレ達に訴える相原を、さすがに無視できなくて彼女を紹介する。と言っても、名前だけだけど。

「良く来るの?ここに」

 行動範囲の調査か。結構突っ込んでくるな、相原は。
  そういや、何でティアスはここに来たんだ?いることを知らなかったオレに会いに来たとも思えないし。そもそも、会いに来るなら、先に連絡してくるし。

「ううん。今日はたまたま。下見に来ただけ。でも、これからは来ようかな」

 相原を見ながら微笑む彼女は、テーブルの下でこっそり、オレの膝に手を重ねた。
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