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W.E.M【世界の終わる音が聞こえる】(W.E.M[World's end music])

W.E.M【世界の終わる音が聞こえる】 第3話(the heads) 03/12



 愛里に言われるまま、港にある遊園地に来たのが良いが、入れず、入口で彼女を待つ羽目になった。
  ここに来るまでに、結構時間がかかってしまったせいか、空はすっかりオレンジがかっていた。

「あ、テツ!遅い!!もう、何で入ってこないのよ?」
「知らねえよ。何か、花火やるから入場整理券がいるとか言われて……だれ?」

 オレに駈け寄る愛里の後ろから、1人の男が追いかけてくる。何か、愛里の好きそうな顔ですけど?何か、てかてかの黒いジャケット着てますけど?

「ああ、気にしないで」

 彼を見もしないで、そう言い放つと、オレに体を預けながら、オレの右手を両手でがっちりと組んだ。

「じゃあね、この人と約束あるから。ばいばい」

 追いかけてきた髪のセットに1時間くらいかけてそうな男に手を振りながら、彼女はますますオレにすり寄ってくる。
  あんまり接近されると……ちょっとどきどきしますけど。
  愛里からは、甘い匂いと一緒に……

「……酒くせえよ!愛里!!」
「良いじゃない。良いから、行きましょ?」

 腕を組んだまま、オレを駅の方へ誘導する。

「オレ来たばかりだし、あの人は……」
「待てよ、愛里!なんだよその男は!まだガキじゃねえか、どう見たって」

 ……不愉快な。老け顔って言われるのもそれはそれで不愉快だけど、ガキって言うのもどうかと思うぞ。何だ、この敵意むき出しの男は!!

「彼氏」

 そう言いながら、彼女はオレの頬にすり寄ってきた。顔と頭が火照って、判断力が鈍る……。

「何だよ。じゃあ、オレはなんだったんだよ」
「別に?誘われたからつき合っただけ。クリスマスだもの、夜は彼と過ごすの、ね?」

 甘い言葉と甘い表情。思わずその気になってしまうところだったが、彼女の脅すような目つきに、少しだけ正気を取り戻した自分。

 よ……要するにだ。つき合ってこんな所に来てみたモノの、愛里はこの男が単純に気に入らなかったんだ。でも、それだけならさっきみたいにはっきりそう言えばいいだけの問題な気がするけど……。

「ふざけんな!男がいるなんて、一言も言ってなかったじゃねえか!」

 掴みかかろうとした、てかてかジャケット男の手を逃れ、愛里はさっとオレの後ろに隠れた。代わりにオレは胸ぐらを捕まれる。

「……暴力反対……」

 疲れる男だな……。どうしてよりにもよって、こういうダメな男を引っかけるんだよ。オヤジだけ追っかけてろっつーの。(それはそれでいやだけど)
  何か、もう、どうして良いかわかんねえなあ。胃が痛くなってきた。

「このガキ!てめえの女に、オレがいくら使ったか判ってんのか?」
「うわー、最低ね。あんた、別れ際に女に慰謝料と使ったお金を請求するタイプでしょ?」

 まあ、確かに最低だが、オレの後ろでそれを言うなよ。

「しかも、思い通りにならないと暴力で相手を屈服させようとするタイプ。どうしようもないわね」

 お前……途中でそれに気付いて、オレを呼びつけたな?つーか、この状況で煽るな、そう言うバカな男を。

「どけ、このクソがき!その女に思い知らせてや……!!」

 あ。思わず、脛にローキック食らわせちゃった。声を詰まらせて蹲っていた。

「じ……地味に卑怯なコトしやがって……」
「……別に卑怯じゃないって」
「もう、そう言うときは『オレの女に手を出すんじゃねえ!』とか声高に宣言するものでしょ?ホント、根が暗いわね、あんたは。行くわよ?」
「助けてもらっといて、根が暗いとか言うか、お前は!?」

 オレの反論を無視して、腕を組んだまま彼女は走り出す。
  途中、ヒールで走ることになった彼女を庇うように、彼女を支え、抱きかかえながら走る。少しだけ……いや、少しどころじゃなく、意識もしてるし、下心もあった。

 だって、何かこう言うのって……この後、恋とか生まれるっぽくない?
  なし崩し的に、うまく行かないか?オレと愛里で。

「あー、久しぶりに走ったわ。どうしようもないわね、あの男」

 公園のベンチに2人で座った途端、彼女は深呼吸と共に悪態をついた。
  しかも、足をぶらぶらさせながら、オレに何かを要求する。

「テツ、靴を脱がせて。痛いのよ」

 おいおい……それは何だかエロくて良いけど、どうなんだ。
  でも、言うとおりにしてしまう自分が悲しい。だってこんなものすごい、下から嘗めるような角度で見上げられるなんて。

「はやく」

 オレは黙って頷くしかない。彼女の足下に跪いて、両手で靴を脱がせる。
  ちらっと、彼女を見上げる。スカートから見える足もぎりぎりだし、けだるそうな彼女の表情が、オレの心をさらに高鳴らせる。

「ついでだから、足を揉んでよ。あの男、人をこんな所に連れだして、この格好で歩かせるんだもん。バカじゃないの?足、痛くなっちゃったじゃないの」

 その男についてったのはお前だろ?何でこう、軽いっつーか、何というか。
  でも、素直に揉んでしまう。オレ、マゾっ気あるんかな?ホントに。

「ついて行かなきゃいいじゃん。バカだって判ってんなら」
「あら、スペックは良いのよ?ああ見えても」
「……ださいし。何、あのてかてかジャケット」
「そうなのよね。今日会ってみたら、あれだったのよね。この間はもうちょっとマシだったんだけど。あれでも、N大の理学部、お父さんが建築会社を経営してるの」
「それ、今は金持ってるかも知れないけど、親の後は継げねえし!てか、オヤジの大学だし!」
「鉄城の大学とか、そんなのは関係ないでしょ?まあ、確かにあの大学に行ったときに会ったんだけど」

 やっぱり。
  ホントに、オヤジも、愛里もウソがうまいんだ。そうやって、2人でこそこそ会ったりしてるんだ。
  でも、ホントの所、どうなんだろ。

「どうしたの?テツ?暗い顔して」
「いや……」
「そう言えば、テツって、こんな日によく迎えに来れたわよね。世の中こんなに浮かれてる日はないわよ?せっかく自由な身分なんだから、今のうちに楽しんでおかなくちゃ損よ?」
「自由な身分?」
「働いてちゃ、こんな平日の夕方に、遊びになんて行けないわよ。いくらイブだからって」

 ああ、そう。それで学生の男を相手にしてたってことか?

「別に。暇だったから」
「そう。よかった。でも、もったいないわね、ホントに彼女もいないんだ。いい男に育ってきたのに」

 彼女はオレの頬を撫でる。その手の冷たさに、やっぱりオレは誤解しそうになる。いや、もう、とっくに誤解してるのかも知れない。どうしてオレが呼ばれたんだろう。どうしてオレは、こんな所で、彼女に跪いているのか?
  彼女は、オレのこと、少しでも思ってくれてるから?
  誤解するだけの条件が揃ってる。期待し過ぎちゃダメだと判ってるのに、オレはどうしても期待してしまう。自分の弱さに負けそうになる。

「あのさ、愛里」
「あ、……鉄城!」

 彼女は笑顔で顔を上げ、ヒールも履かず、痛いと言っていた足で立ち上がり、公園を素足で走った。その先には、オヤジがいた。コートに身を包み、明らかに彼女を捜していたといった顔で、公園の中に入ってくる。

「何でテツが?……テツ?」

 オヤジの声を最後まで聞くことなく、オレは走っていた。
  逃げるつもりなんか無かったのに、必要もないのに、ただ走ってた。

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