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W.E.M【世界の終わる音が聞こえる】(W.E.M[World's end music])

W.E.M【世界の終わる音が聞こえる】 第2話(the heads) 02/11



 御浜の登校時間とずらしてさっさと学校に行くつもりが、結局遅刻する羽目になってしまった。
  学校からほど近い公園の駐輪場に原付を隠し、そこから歩いて登校。とっくに始業ベルは鳴っていた。
  まあ良いか、なんて思いつつ、メールの着信を確認。

『昨夜はお世話になりました。ありがとう(*^_^*)』

 ティアスからのメールだった。
  えっと……昨夜、教えたんだっけ?
  なんか、すっげえもり上がったのも覚えてる。オレは始終笑ったり怒ったりしてた。
  でも、彼女のこの行為に抵抗はなかった。特に驚くことでもないし。

『新島にツケとくから気にするな。バス乗れた?』
『今バス停で待ってます。本数少ないよ~』
『乗るバス、間違えんなよ?』

「……テッちゃん。何にやにやしながらメールしてんの、気持ち悪い……」
「どわっ!?真!!何でお前?いつの間に?」

 遅刻してるというのに、(してるからこそ)堂々と裏にある非常口から教室に入ろうとしていたら、隣に真がいた。コイツもどうやら遅刻らしい。

「……お前、遅刻だろ?」
「まあ良いじゃない。どうせ明後日には冬休みだし。今日も来るか迷ったくらいで」
「どうゆう理屈だ。だいたい、バス通じゃねえのかよ?お前」

 始業ベルにちょうど間に合う時間のバスは2本しかない。この時間に遅刻してくるヤツは、家が近い自転車通学の連中だが、真もオレも路線は違えどバス通だった。

「寝坊したから紗良に送ってもらったんだよ。天気予報で雨降るとか言ってたし。もうすぐ1限目始まるよ?扉の前にいると邪魔」
「悪かったよ……」
「何、嫌に素直。気持ち悪い」
「どうすりゃ良いんだよ、オレは!」

 メール打つのに必死になってて、扉の前で立ちつくしてたから、悪いと思って謝っただけじゃん!なんだよもう。

 ホームルームの終わりを見計らって、1限目の先生が来る前にこっそり教室に入る。

「なんだよ。泉も沢田も今ごろ来たのかよ、めずらし。バス遅れてた?」

 席に着いた途端、後ろを向いて話しかけてきたのは相原だった。

「いや、今日はバスじゃないから」
「ふうん。じゃあ、今日はあの美人のピアノの先生とは会わないの?顔見に行こうと思ってたのに」
「お前な、何しに来るんだよ。毎回毎回」
「目の保養だって。佐藤さん、気の強いところがあれだけど、タイプだなー」

 美人見たらすぐそれ言うじゃねえか。どういうのがタイプ何だか……。

「相原、今日は新島どうしたよ?いないの?」

 真が相原の隣の席を指さした。

「なんか、病欠って親から連絡あったらしいよ。風邪でもひいたんじゃね?」

 いや、違うと思うな……。確実に女といるぞ、アイツ。泊まりだし。
  しかし、親から連絡って。親もグル?!

「ティアちゃんに引っ張り回されてんじゃないの?アイツ、保護者じゃん」
「いや、違うって。ティアスは今朝、一人で芸大に行ったし。御浜が朝来てバスの路線教えてた」
「あ、そーなの?怪しいねー、新島のヤツ」

 どうやら、真も同じコトを考えたらしい。

「何?誰、ティアスって。新島の女?」
「いや、違う。新島の従姉妹だよ」
「でもあの二人、怪しくない?ティアちゃんて、超可愛いし」
「違うってさ」

 ここで新島に彼女がいることを言っていいものか、一瞬ためらった。
  普段なら気にすることもない会話なんだけど、今回の新島の態度は何だか違っていたし、何よりティアスがすごく気を遣っていたから。

「てか、何でその超可愛い女の動向を沢田が知ってんの?」

 相原め……顔が良いって聞いたら、何にでも食いつくな。

「関係ないっつの、前向けって」

 先生が教室に入り、号令をかける。1限目はオレの苦手な英語だった。予習も何もしてない。
  愛里が、後々のことを考えたら、英語は力を入れておいた方がいいって言ってたけど、どうも身が入らない。
  受験でも必須だし、仮に音大に入ることになったら……。

 なんか、何も考えたくねえな。
  今日、愛里に会わないですむのはよいかもしれない。
  彼女のことを考えれば考えただけ、気持ちが重くなってくる。
  指も、重くなる……。

 なんで、オレはピアノを弾けたり弾けなかったりするんだろう。
  一人で弾いてると?
  愛里のレッスンや、御浜やティアスの前では弾けたんだ。
  誰かがいれば弾けるってのか?そんなおかしな話あるのか。それって、自己顕示欲が強すぎて、みっともなくないか?要するに、人が見てるから、努力しますよってコトか?自分……。

『すごく良かったよ。私はああいう、感情的なのが好きだな。すごく丁寧だし』

 つまらなさそうに弾いてるって言われたり、丁寧だって言われたり……。どっちなんだよ。
  でも、昨日はピアノを弾きたかったんだ。彼女の歌のようなのを。

 オレは彼女を羨ましがっているのか?
  オレは彼女をねたんだいるのか?

 どうしてなのか。この羨望と嫉妬に似た感情は何なのか、オレには判らない。
  それでも、昨日一晩彼女と話して、判ったことはある。

 オレは彼女を嫌いじゃないし、どちらかというと興味を持っている。
  それは、御浜が興味を持った女だから、というのももちろんあるし、何より彼女の歌と、その姿勢に惹かれた。
  オレにはない、彼女の強い意志と力。
  歌を聴いたあとで、彼女の話を聞いた。だからこそ、その力を感じた。

 御浜はもしかしたら、オレが一晩話して(ぼんやりとだけど)やっと気付いた彼女の姿に、一目で気付いていたのかもしれない。そして、彼のことだから、それ以上に彼女の何かを感じ取っているのかもしれない。

 でも、御浜って、ホントにティアスの何がいいんだろうな。あんなに熱心に口説いちゃって。あの勢いだと、親父がいないって判ってたら、うちに一緒に泊まってただろうし…。
  御浜があんなに興味を持つような女か……。ホントは彼女って、どんな女なのかな?オレが知ってるのなんて、きっとほんの一部分に過ぎないんだろうな。

 ちょっと気が強くて、でも怒られるとすぐ弱くなる。
  言葉が足らなくて誤解を生みやすくて、でも悪いと思ったら謝れる。
  あと、不器用だ。一人で暮らしていけなさそうだもんな。オレがしてやらないとダメだったし。なんか新島が保護者みたいになってるのも判る気がする。ちょっと危なっかしいとこあるし。
  確かに、最初の印象は悪かったし、愛里はティアスが嫌いだけど、オレは嫌いじゃない。
  少なくとも、あの女の歌は、スキかもしれない。

「さーわーだー?なあ泉、この人なんかおかしいよ?顔にやけてるし。オレ、沢田って古風でお堅い硬派な男のイメージがあったけどな。今どき珍しい、天然記念物みたいな」
「いや、意外と影でやるこたやってたらしいよ?オレ、テッちゃんに中学の時とは言え彼女が2人もいたことにショックを受けたね」
「マジで!?この年寄りみたく枯れた男に人並みの性欲が!?……あ、でもどーせ、顔目当てでよってこられたはいいけど、すぐに飽きられて振られたりするパターン?その場しのぎは得意そうだけど」
「それ、昨日オレも言った」
「やっぱねー。……って、ホントに沢田おかしくない?」
「テッちゃーん!授業終わったよーん。ノートは?」

 なんか好き勝手言われてなかったか?オレ。真がオレの頬を引っ張る痛みで気が付いた。

「いてえよ!ノートがなんだって?」
「いや、オレ途中で寝ちったから。相原も寝てるし。なんか、期末に出るとか言ってたのしか覚えてなくて、とってないかなーって思ったんだけど……」

 真が人の手元をじっと見つめながら、ため息を付く。ノートなんか取ってねえつうの。

「何これ、怖!沢田寝ぼけてた?何このノートにある無数の点は!」

 相原に言われ、初めて気付いたが、シャーペンの先で、ノートを何度も弾いたような痕が残っていた。

「いや、なんか考えごとしてたからさ。授業とか全然覚えてないし。てか、オレもう英語捨ててるし」
「威張って言うことか。もーいいや、誰かノートとってねえかな?聞いてくるわ」

 ……あ、オレも焦んないといけないんだった。
  ホントに、何もかもどうでも良いな。どうでも良いってのはヤバイか。ただでさえ英語苦手なのに。
  オレの気分を察したかのように、空はどんどん曇ってくる。原付で来たのに、勘弁してくれ。

「やっべ、今日は雨じゃなくて雪だって!雨だと思ったから送ってもらったのにな」

 携帯で天気を確認しているらしい真は、画面と空を交互に見上げた。

「いいじゃんよ、オレなんか原付だぞ?……あ、降ってきた」

 小粒の雨だったが、みぞれが所々混じっていた。道理で寒いはずだ。

「道が凍ったら危ないだろうが」
「ああ、南さんがね……」

 その気遣いを他のヤツにもしてくれっての。メールを打ってたけど、相手はきっと南さんだな。他に彼女いるくせに。
  ついでに自分の携帯を確認したら、メールが入ってた。ティアスだった。

『どうしよう、迷っちゃった!(>_<)大学に着かないよー。周りに畑しかない……』 
「はあ~?!」

 突然立ち上がったオレに、びっくりした真。目をむいてた。
  オレは真と画面と空模様を交互に眺めた。
  あの女は、ホントに一人じゃ何も出来ねえっつーか、お騒がせっつーか……。

「早退する。あと頼むわ」
「テッちゃん、なんか昨日から変だね。……御浜がさぁ」

 真が何か言いたそうだったが、オレはコートとバッグを抱え、こっそり教室をあとにした。

 
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