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W.E.M【世界の終わる音が聞こえる】(W.E.M[World's end music])

W.E.M【世界の終わる音が聞こえる】 第1話(the heads) 11/11


 一通り、誤解が生じないように、ティアスのことを柚乃に説明する。
  まだ、2時半なのに、帰ってくるの早すぎるって。

 キッチンに向かい合わせに座ったまま、ティアスは俯いていた。

「どうしよう。私、友達の家に泊まりに行った方がいい?それともシュウジさんちとか……」
「お前、人の話聞いてたか?何を勝手に捏造しとるか!」
「だって、このテッちゃんが!女の子を家に連れ込むなんて!すごくない!?」
「いや、そう言うんだったら、絶対家には連れてこないから。こんな人の出入りの激しい家に!」
「え?でも、ホテル行くお金なんかあるの?……ああ、相手の家に……」
「だから、違うっつーの。いい加減にしろっつーの!」
「だって、さっきの説明に、その、ものすっごーくいい感じに恥ずかしい雰囲気の説明がなかったから」

 うん、それはオレが悪かった。
  て言うか、つっこまんでくれ。ホントに。

「彼女じゃないの?」
「だから、昨日会ったばっかだって!大体、ティアスだって帰る家あんのに、何で今日に限って帰らんとか言ってんだよ。オレ、事情聞いてないぞ!」
「……何で私に矛先が向くのよ。また怒ってるし」
「怒ってないっつーの。なんかもう、新島も誤魔化しながら喋ってたし。どういうことだよ。オレ、相当人が良いぞ?!」
「テッちゃん、みっともないから逆切れしないで」

 誰のせいだ!

「……テッちゃん、相当恥ずかしかったのね、彼女とのことをからかわれるの。カリカリしてるけど、割と「別に」とか言って冷めた返事をしては、女の子に逆切れされるタイプなのに。彼女、照れちゃってるじゃない」
「お前、何でそんなに発言がおばさんぽいんだ。何様だお前は。それに、ティアスはこんな子供みたいな顔してるけど、オレより年上だぞ」
「え?!そーなの?中学生くらいかと思った」

 それはさすがに失礼だろう。でも、ティアスは柚乃には何も言わなかった。

「今住んでるマンションが、灯路の彼女の持ち物なの。それで、今日は彼女と灯路が会う日だから、私がいたら邪魔でしょ?だから、消えてようと思ったのに、灯路が『そんな気を遣う必要ない』って言うのよ。全然、会えないくせに」
「へえー……新島の彼女の……?」

 新島に彼女?

「アイツ、今彼女いるんだ。初耳。4月ごろに女子校の女と別れたっつーのは知ってたけど」
「その彼女、すごくない?だって、自由に一人でそのマンションを使えるってコトでしょ?」

 柚乃の言うことにも一理ある。
  どこのお嬢様?金持ってるよな~。
  新島んちは、ふつーのサラリーマン一家だから、そんなもの持ってるわけもないし。それに、新島んちのものだったら、ティアスがそこにいるのがばれるから、違うし。

「今日はそのマンションに二人でいるってコトか。わざわざマンション用意して男と会うってのも……。どんな女だよそれ、すげえな、マダムか!?それに、全然会えないってのは、忙しいってコト?」
「うん。そうね。今日は来てたけど」

 新島のヤツ、隠してんのかな?そう言うタイプじゃないんだけどな。
  ティアスに興味がないって言うときに、「彼女いるから」って一言言えばよかったのに。

「年上で、働いてるわね、その人。しかもバリキャリじゃない?その新島って人、テッちゃんの同級生でしょ?すごくない?」
「うーん。そうだよな。うちの親父と母さんみたいな感じかな」
「あ、そっか。そうだよね。パパって、高校生のときにママと結婚したんだっけ」

 興味本位で話すオレ達を見つめながら、ティアスはただ黙っていた。彼女はどうやら、それ以上話すつもりはないらしい。

 オレの問いに答えた。それだけなのだろう。

 柚乃もさすがにそれを察したらしい。

「私、お風呂入ってから出かけたからさ、もう寝るね。ティアスさん、気にせずシャワー使ってくれて良いから」

 ステージ用のきつい化粧のままのティアスを見て、由乃はそう言った。

「ティアスで良いよ。ありがとう」
「テッちゃんのお客さんだから、あと頼むね。ついでに客間で一緒に寝たら?」
「うるせえ、早く寝ろ。おっさんかお前は!」

 柚乃はオレの台詞を笑い飛ばすと、キッチンを出ていった。

「悪い、ティアス。ちょっとコーヒー飲んでろ」

 そう言って、彼女をキッチンに残してオレは柚乃を追いかける。
  二階にある彼女の部屋に入ろうとしてるところを、捕まえる。
 
「柚乃!ちょっと待て!話が……」
「何よもう。邪魔しないから」
「そうじゃないって、ティアスとオレが二人でいたこと、御浜には言うなよ?」
「何で?何で御浜さんなの?」
「だって、お前だって変だと思ったろ?御浜があんなに一人の女に執着するなんて。ティアスがいるから言わなかったけど、アイツ、あの女を見たときに『好きになったかも』なんて言ってたし。だから……何もないって思っても、気にするだろ?」
「……御浜さん、ティアスのこと好きなんだ。そうよね、すっごく可愛いし」
「うん、まあ、可愛いとこもあるけど。……お前は怖いぞ」

 もしかして、とは思ってたけど……。てか、ほぼ確信してたけど、柚乃って……。

「テッちゃん、頑張ってね。私もいたことにしといてあげるから、何があっても今なら誤魔化せる☆」

 悪魔的契約?
  御浜とティアスを引き離したいだけじゃん、それって。

「あのなあ、オレは……」
「冗談よ。でも、ホントにいい感じに見えたけど?愛里さんより、よっぽどいい人だと思うけどね。あの人は、パパの追っかけだし。私は……」

 そう言って、柚乃は黙った。そして、小さく「ごめん」と言って、部屋に逃げ帰った。

 柚乃が愛里のことをあまり好きじゃないのは知ってる。でも、オレがあんまりあの女に執着してるから、気を遣ってるのも知ってる。だから、オレと柚乃はそこら辺の兄弟よりよっぽど仲がいいのに、そのことに関しては腫れ物を扱うようにする。
  そのたびに、オレだって申し訳なくて仕方がない。何度もこの思いを捨てようと思った。
  だけど、それが出来ない弱い自分がいる。

 それは何だか、ピアノの前で弾けずに苦しんでる自分と同じだった。

 くだらない。女一人のことで、こんな風に考え込む自分なんか。
  それより、さっさとキッチンに戻って、ティアスに部屋を用意してやらないと。

「ティアス、部屋を……」

 Forest and meadow are still.Peace falls on valley and hill.

 食器を洗いながら彼女が口ずさんでいたのは、モーツァルトの子守歌だった。(しかも何故か日本語でもドイツ語でもなく英語!)
  ついさっき、ステージ上でバンドをバックに、あんなに力強く歌っていたとは思えないくらい、優しく、そして子守歌にしては甘い歌声だった。

「あ、ごめん、何だった?」
「いや、何でもない。食器、洗ってくれてたんだな」
「うん。これくらいなら出来るから」
「英語で歌うんだ、子守歌」
「あ、ごめんね、夜中なのに」
「良いよ、今くらいの声なら。それより、続き、歌って」

 彼女は心底驚いたような顔をした。

「聞きたい」

 彼女が照れたように微笑む。それに答えるかのように、オレも笑った。

 明日、弾いてみようかな、この曲を。
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