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Voice【最果てから呼ぶ声】(Voice[that
is called farthest])
第7章
04
その日の夜も、結局オレはうなされた。
オレが一番恐れていたものは、女の背中の向こうに居たもの。
いつもそうだった。
それのせいで、オレは目の前の女に吐き気を覚え、恐怖を覚える。
「うわあ!」
息が乱れ、まだ夜は冷えるのに身体中にびっしょり汗をかき、オレは掻きむしり過ぎて傷む胸に手を当てる。
「カホ」
彼女が出ていかないようにと、横に眠らせた。
オレは何度も名前を呼ぶ。
返事はしなかったが、彼女は目を覚ましていた。いや、眠っていなかったのかもしれない。
「カホ、カホ」
彼女の身体を、オレは求める。なんどもくちづけて、必死にしがみつく。
あの時に似ている。
大罪、故の快楽。
オレは、それが忘れられない。恐怖も、不快感も、罪悪感も、もちろんあった。でも、それがよけいに快楽を増していき、その快楽が、オレの罪悪感をいっそう強める。
なかったのは心だけ。
なかったのは、わかってるのに、それでもオレは快楽を求めていた。
「コタ、どうしたの?」
こんなこと、間違ってる。彼女の笑顔が、それに気付かせる。
彼女といる時、オレは忘れられたのに。
オレは、なんて醜い。
どうして何もかもわかったのに。思い出したのに。
俺はこんなコトを繰り返す?
俺は一体どうしたらいい?
「カホ、帰るのか?」
カホは答えない。
知流の言葉が、俺の頭をよぎる。
俺が怖がってたのは、女なんかじゃなくて、親父だった。
それがはっきりしたのに、なんで?
なんで俺は変われない?
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