無料連載小説サイトwing of fragment です。 ファンタジー恋愛群像劇、学園恋愛物、学園恋愛FTをテーマにメルマガ、サイト上にて小説を連載しています。
Copyright (C) Erina Sakura All rights Reserved. Please don"t distribute any texts and images from this website without permission

連載,小説,FT恋愛,FT学園,BL,学園恋愛,携帯,女性向,ファンタジー恋愛群像劇,学園恋愛物,学園恋愛FT

Switch[モラトリアムを選ぶと言うこと]

Switch[モラトリアムを選ぶと言うこと] 続・序章 第3話 続・支配するもの、されるもの 05/10



 オレが、彼の台詞の真意を問いただそうと口を開いたとき、彼は笑顔で持ってきていた包帯と傷薬を差し出し

「オレ、手当てしようか?」

 なんて言いながら、まるめてあった包帯を解き始めた。彼がこの話を終わらせようとしているのは明らかだった。だけど、彼の綺麗な笑顔の持つ圧力に、逆らえなかった、何故か。

「……ありがとう」
「自分で包帯ほどける?薬を塗るから」

 もう、ほとんど痛みはなかったけれど、包帯をはずしたら、オレの足は赤黒く変色していた。おかしいな。普通に歩けたし、イズミ達の言うとおり、(最初はびっくりして大騒ぎしたのが恥ずかしいくらい)そんなに酷くない気がしてたのに……。なんかこれ、おかしくない?
  てか、こんな状態なのに薬を塗るだけかよ。しかも、あの恐ろしい緑色っつーか、腐った色の。ミハマを信用してないわけじゃないけど、あの医者の人も信用してないわけじゃないけど、見かけは何とかならないのか?

「こういうのって、薬で治るの?」
「治るものと、治らないものがあるけど。魔物が相手だったからね、なんとも」

 そう言えば、あの軍医もそんなようなこと言ってたな……。判んないことの方が多いってことか。やっぱこの薬、信用度が低いかも。

「今夜、君たちが出会った魔物は、少なくともテツ達ですら初めてみるタイプだって言ってた。ティアスもね」
「……ティアスに話を聞いた?オレを助けてくれたんだ」
「又聞きだけど。魔物を退治したときに、テツが彼女に聞いたって。戦い方が判らないと、あいつらとは戦えないから。データは持ち帰ってきてるけど」
「そうなんだ。なんか、色気のない会話」

 少しだけ、ほっとした。もしかしたらこっそり会っていたのも、サワダのことだから対魔物の話を聞き出してたのかも知れない。
  ……それはそれで、彼女にとっては困るだろうけど。

「彼女は天から来る魔物への対抗力を持ってる。彼女や、テッキさん曰く『国が北に近いから、脅威にさらされていた』って話だよ」

 オレの様子を見て、そう教えてくれたくせに、笑った。

「結構、過酷な環境にいたのかな?だから、あんなに強いとか?だって、ミナミさんだって、この国では上の方の階級なのに、戦えるのに、あの魔物に対しては何も出来ないに等しかった。いくら、魔物に対するのには戦い方があるからって」
「そうだね。サラも、魔物に対する対抗力は持っているけど、あの天から来るものには力が及ばないと言っていた。シンやテツが彼女ともデータをシェアしてるけど、使いこなせるかどうかは別なんだ」

 おそらくそれは、あんなに研究しているシュウジさんが、魔物と戦う力がないことに等しいのだろう。

「彼女は戦えるし、知識も豊富だし、それを応用する能力もある。シュウジもテツもシンも、彼女を評価していたから相当なものなんだと思うよ?」

 伊達に、中央の大佐じゃないってことか。
  ミハマはオレに薬を塗ったあと、包帯を巻こうとして、解いた。しかし、その後が酷かった。長く伸びた包帯と格闘しながら、ねじり、ぐちゃぐちゃのまま、巻き付けようとしたので思わず止めてしまった。

「ごめん、ミハマ!オレ、自分でやるから!」
「え?そう?」
「……よく、他の連中にもそう言われない?」
「わりと……」

 これが普通だと思ってませんか?重傷だぞ?不器用すぎる!漫画か?てか、自覚させろよ!教育係だろ、シュウジさん!!

「サワダってさ、女の人が苦手だって言うけど、ティアスとはよく話すんだ。気にならないの?まあ、色気のない話ばかりって感じみたいだけど」
「うーん。オレとあの子が仲良くなることを、シュウジやテツやユノはあまり良い顔しないんだよね。テッキさんの息がかかってるとか、正体不明だとか言って。まあ、その兼ね合いで、彼女の所に行くと大抵テツがくっついてきて話してるうちに、慣れちゃったみたいだよ?」

 ……ああ、サワダ父の。ミハマって普通に話に出すけど、二人で話してる時って、すごく険悪だろう?なんでこんな風に、笑顔で話が出来るんだろ。

「別に、サワダのお父さんも、エライ人じゃん。身分がどうとかって話もあれだし、敵対勢力と仲良くなることが悪いとは思わないけど」
「だよねえ。オレもそう思う。でもまあ、シュウジ達はテッキさんの狙いを、オレの失脚だと思ってるからさ」

 やれやれ、と言った顔で天を仰ぐミハマ。思ってるってなんだよ。変なの。
  つーか、失脚って。

「またそう言うことさらっと言う!失脚って?何で?だって、サワダ父には王位継承権はないって聞いたぞ。あるのはミハマと、サワダと……」
「まあ、そう言うことだね。テツが王位についたら、その実父であるテッキさんは必然的にここでも扱いが変わるからね。でも、オレはそんな小さいことに彼がこだわってるようには思えないけどな」
「小さくないよ!小さくない!」
「でも、テツが王位についても、テツはオレのこと裏切らないよ?」

 そんなの、判んないだろ!

 さすがにそうとは言えなかったけど。


 prev<<<  Switch[The moratorium is selected] list >>>next
 >>>アルファポリスに登録中。
 >>>ネット小説ランキング>「Switch【モラトリアムを選ぶと言うこと」に投票
>>>「小説家になろう」にて連載中。ぜひレビューお願いします。

関連コンテンツ

 >>Switch Charactors(イラストつきキャラ紹介)
Copyright 2006-2009(C) Erina Sakura All rights Reserved
このサイトの著作権は管理人:作倉エリナにあります。禁無断転載・転用