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Switch[モラトリアムを選ぶと言うこと]

Switch[モラトリアムを選ぶと言うこと] 続・序章 第2話  続・これもきっと何かの縁 01/10


「申し訳ありません、お客様。閉店のお時間になりますので……」

  この店の店長と思しき初老の男性に声をかけられ、オレは初めて窓の外を見た。空はまだ明るい。

「今、何時ですか」

  そう言った後で、白夜だったことを思い出した。どうも、時間の感覚が狂うな……。
  閉店時間からかなりたっていたのか、店内には誰もいなかったし、店長はかなり不機嫌そうな顔でオレを睨み付けていた。口調が丁寧な分よけい怖い。まあイズミに比べたら、たいしたことは無いけど。
  彼は白いシャツの袖をまくって、似合わないミリタリー調のごつい時計をチラッと確認した。それから、さりげなくオレの方に、時計を見せるかのように腕を傾けた。よく見たら、壁には時計がかかっていた。

「11時12分です」
「……いい時計ですね」
「ええ、ロレックスの新作なんですよ」

  彼は満面の笑みをたたえていた。
  オレは胸をなでおろし、即座に立ち上がった。

「すみません、帰ります」

  急いで店の外に出て、少し離れた場所にある公園のベンチで座り込んだ。こんなに明るいのに、いや明るいからこそ人がいなかった。
  結局、店長に声をかけられるまで、オレは喫茶店の片隅の席に座り込んだままだったのだ。何でここまで言われなければいけないのかと、正直、理不尽だって思いでいっぱいのまま、時間だけが過ぎ去っていくのを感じていた。
  イズミは、なぜか迎えに来たサワダに連れられ、さっさと城へ戻っていった。サワダがオレのことを気にかけてくれていたようだったが、何を言ってくれたのかは覚えていない。恐らく、いつものことなんだろう。今までも、彼がこう
やって敵を排除して来たに違いないことは容易に理解できた。

「なにやってんだよ、お前?」
「うわっ……て。何だ、ニイジマかよ。脅かすな」

  後ろから声をかけ、肩をたたいたのは、私服姿のニイジマだった。いつもならここで笑いながらしゃべるところだけど。

「こんな思いっきり人目につくところに座り込んどいて、脅かすもくそもあるか。そういう時は、たいてい心に疾しいことがあるから驚くんだ」
「別に無い」
「ああ、そう。疾しいことは無くても、なんか抱えてるって感じはするけど。まあ、オレにはどうでもいいことだし」
「だから、何でそういうこと!」

  オレが怒鳴りつけたときには、ニイジマはオレの隣に座っていた。

「うちのお姫さんにさ、頼まれてんだよ。お前には優しくしてやってくれって。戦い方も、戦争すらも知らない子が、いきなりこんな状況にいたら大変だろうし、可愛そうだからって」
「何それ、ほんとに?ティアスがそう言ったのか?」
「あのなあ。いくらなんだって、上司が言った言葉を違えて言うほどバカじゃないぞ」
「バカとか言ってないって」

  なんか、時々子供みたいなこと言うよな、こいつ。結構、優秀な軍人のくせに。
  それにしても、ティアスがオレの事をそんなに気遣ってくれてたんだ。オレの前ではあんなつれない態度を見せることがあったけど、ニイジマにそう言うことを言ってるってことは、たぶんそれが彼女の本音なんだろう。

「つーか、そのニイジマの態度は、やさしさなの?」
「優しいだろ?だって間違ってたか?オレの言ったこと?」
「間違ってない」

  オレは簡単にイズミとの会話についてニイジマに話すことにした。ニイジマの口からオレの現状が伝わることで彼女に優しくしてもらいたいって言う下心がなかったと言えば、うそになる。

「なんというか、イズミ中佐は相当切れ者かも知れんな。これは要注意」
「切れ者?何で?この話で??」
「わかんないの?お前、たいしたこと言われたわけでもないのに、揺さぶられてるよ、それ」
「オレが、揺さぶられてる?」
「まあ、気づいてないなら良いんだけど。いや、たいした男かもね。しかも、ずっとそう言うことをしてきたんだろうな」
「それはオレも思った」

  公園の時計の針だけが、オレに時間を教えてくれる。こんな夜遅くに城に帰っても入れてくれるのかだけが心配だったけど、帰りたいわけじゃなかった。

「イズミは、ミハマと、その護衛部隊のためなら何でもするんだろうな、きっと。そんな気がする。オレは彼から見たら、外敵でしかないんだ」
「だろうな。姫も、それをひどく感じるって言ってたし」
「でも、ミハマがティアスのこと気に入ってたんだから、多少は……」
「いや、だからこそ余計に、警戒してるんだろう。姫の周りは近づけない。護衛部隊に警戒されても仕方ない要素がそろってしまっている。どうやら、サワダ議員も、敵として認識されてるみたいだし」
「他はどうか知らないけど、ミハマとは相当仲が悪いかな」

  そういって、ニイジマにティアスが怪我をした時の、ミハマとサワダ父の様子を話したら爆笑されてしまった。

「ガキだな」

  しかも、その一言で一蹴するか、お前は。確かにオレも同じことを思ったけど。
  でも、少しだけ気が楽になる。ティアスのこともそうだけど、ニイジマもこうやって話をしていたら、何だかオレのいた時代の彼のようで、安心できる。
 もしかしたら、彼は、彼らは、本当にオレのことを受け入れてくれるかもしれない。
 いつか必ずオレは元の次代に戻るけど、だけど、どこか拠り所が無くちゃ、正直つらいよ。
 ニイジマは、イズミみたいにいつも笑ってるようなやつじゃないけど、今日は何だかにこやかだった。

「うちのお姫さんさ、怪我して、ちょっと気弱になってるからさ、悪いけど、フォローしてやって。オレたちも気にしてるんだけど近づけないからさ。お前には連絡係ばっかやらして悪いとは思ってるけど」
「いや、それは、それがティアスのためになるのなら、やるよ。怪我、かなり辛そうだったし」
「だな。あんなところじゃ、おちおち怪我も治せやしない。あんなに警戒されてちゃ」

  そっか。そうだよな。イズミは、ミハマが彼女に興味を持っていることで、余計に彼女に対して警戒心を抱いている。何かあったときに、彼女が裏切り者だとわかったときに、傷つくのは他でもない、彼の一番大事な主なんだから。
  だとしたら、もしかして、あのときのサワダは?

『話?……話、ねえ……とくに何も?お前が気にするようなことは』

「サワダがティアスの部屋にいたのって、彼女を疑ってたから、確認のため?」
「なんだそれ。サワダ中佐が姫の部屋にって……二人きりで?」
「うん。でも、ティアスもサワダも何も無いって否定するから」
  オレに食って掛かったくせに、『ああ、そう』なんて気の無い返事をしながら一人で頷いていた。
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