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Switch[モラトリアムを選ぶと言うこと]

Switch[モラトリアムを選ぶと言うこと] 続・序章 第1話  続・世界を見る 08/10


黙っていてね。なーんて、かわいいこと……。

……ちがうな。彼女はもしかして、釘を差した?オレのこと信用してない?
だって彼女は、オレの持ってた彼女の写真を消したり……でも、お詫びだと言ってパスをくれたり。

彼女の行動には理由がある。

だから、時々こうして心に棘が刺さるような、そんな真似をされるときついけど、仕方ないと納得できる。
出来てると思う。

「どうしたの、そんな辛そうな顔しちゃって」
「……そうでもないよ」
「ごめんね、こういう話し方、良くないとは思ってるんだけど」

そう言って可愛くほほえむ。

「いや、ホントに気にしてないよ。だって、ティアスの立場とか、いろいろあるんだろ?」
「ユウトは優しいのね」

彼女は笑顔を崩さない。動くこともなかったけれど。

「立場があることを振りかざして、わがままを言ってるだけの人だっているのにね」
「ティアスは、違うよ」
「そう?ありがとう」

……これって、ちょっといい感じじゃない?!
ティアス、オレのこと、かなり好印象だよね!

って、オレは以前もそう思ってたんだっけ。なのに、沢田にとられてたわけで。
初めてあの2人がキスしてるとことか見かけちゃったときは、本気でショックだったぞ。あいつら、少しは人目を憚れっつーの!

「あ、そうだ。オレ、ニイジマに……」

ここで一気に彼女との距離を縮めたかった。
ニイジマのことをネタに、彼女との秘密を増やすつもりだったのに、彼女は人差し指を立てて、オレに喋らないように要求する。

「だめよ。誰が聞いてるか判らない」
「……あ、そうだね。ここ、オワリの国で……」

彼女にとって、ここは敵国だ。複雑な関係ではあるけれど。
だけど、彼女はオレの台詞に、首を横に振った。

「それだけじゃ、無いけどね」
「……どういうこと?」
「名前は言っちゃダメよ。頼まれてるのね?」

オレは黙って頷いた。

「ありがとね、ユウト。引き受けてくれたんだ」

彼女の笑顔に、思わず何度も頷く。彼女が感謝してくれるなら、それで充分だ。
彼女はベッドから立ち上がり、少しだけ苦痛に顔を歪ませた。
支えるために、オレは立ち上がり、彼女に駆けよる。
彼女はその手を拒否して……拒否したくせに、オレに近付き、耳打ちをした。 

「伝えて。『しばらく動けないから、2週間後に彼の合図で動く』と。『それまでに連絡を取れる体制を整備して』」

内容は全く色気がないけど、こんな耳元で囁かれたら、どきどきするって!

「また、頼むね」

平気な顔をしてたけど、彼女はかなり苦しそうにしていた。
そして、彼女はやっぱりオレの手を拒否した。

「……辛いなら……」
「なに?」
「辛いなら、そう言えば?手を借りたら?別に、悪いことじゃないと思うけど。オレなんか、頼りまくりだよ」

もっと笑ってくれると思ってた。でも、彼女は微笑んだまま。
そう、微笑んだままなんだ。ずっと、同じ笑顔で。

「借りてるよ?あいつらとかね。良くしてくれてる。ユウトにも、頼ってるよ」
「逃げなくても」
「あはは。ごめんね。気分悪くしちゃったんなら許してくれないかな?ちょっとそう言うの、苦手なんだ」

それって、男が怖いとか、そう言うこと?
そういえば、ちょっと、びくついてたって言うか……。何かあったとか?
彼女の視線は、まるでオレに絡みつくようだったけど。誘われてるようでたまらないけど、でも、彼女がそう言うなら。

「ごめんね。ちょっと休ませてもらっても良いかな?」
「あ、うん……。ケガしてるのに、無理させちゃったね」
「気にしないで。また来てね」

さっきまでの視線は何だったのか。
彼女はいつも通りだった。その姿に多少引っかかりはあるモノの、彼女に見送られ、部屋を出る。

「なに、いい雰囲気でないの?彼女と。うまくやってんじゃん」

扉の外にいたイズミに声をかけられる。つーか、盗み聞きしてたのか?!

『だめよ。誰が聞いてるか判らない』

……こいつか……!?それって、こいつのことか!?

「ミハマと一緒にいたんじゃなかったのかよ」
「いつも一緒にいるわけじゃないだろ。勤務中だし。オレはオレで、自分のなすべきことをしてるだけさ」
「ふうん。こう言うの、仕事なんだ」
「どうだろ。仕事になるかもね、その内」

彼は悪びれることなく嫌味をオレにぶつけた。
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