無料連載小説サイトwing of fragment です。 ファンタジー恋愛群像劇、学園恋愛物、学園恋愛FTをテーマにメルマガ、サイト上にて小説を連載しています。
Copyright (C) Erina Sakura All rights Reserved. Please don"t distribute any texts and images from this website without permission

連載,小説,FT恋愛,FT学園,BL,学園恋愛,携帯,女性向,ファンタジー恋愛群像劇,学園恋愛物,学園恋愛FT

Switch[モラトリアムを選ぶと言うこと]

Switch[モラトリアムを選ぶと言うこと] 序章 第7話  選ぶと言うこと 08/10


 イズミは、ミハマの命令を渋々受け、オレをティアスのいるという客間に案内してくれた。
 彼女がいる部屋は、サワダがこの城にいるときに使っているという部屋と同じ階にあり、エレベーターからすぐの場所だった。

 ミハマは、イズミにオレを託した後、急いでサワダの部屋に向かった。
 どうして本人にそうと言わないのか。それが不思議なくらい、彼はサワダのことを心配していた。
 そのことを、イズミに聞いたら、やっぱりオレはまた怒られるんだろうか?

「彼女、知り合いなわけ?オレやテツみたいに、お前がいた時代って所での」

 部屋に入る前に、確認するようにイズミはそう聞いてきた。

「……サワダの、彼女だよ。本人達はつき合ってないって言い張ってたけど」
「まあ、別人だからね。テツに彼女って、嘘臭い」
「そういやさ、なんでサワダの呼び方変えるの?サワダ本人やミハマの前と、いないときに」

 少しだけ嫌な顔をした。

「気遣いだよ。判んないの?それくらい」
「判んないよ……」

 眉をひそめていた。オレは多分、すごく困った顔をしていたんだと思う。

「サトウアイリは?」
「え?」
「だから、サトウアイリとは、どうだったんだよ、お前の知ってるサワダテツヒトと」

 イズミは自ら、彼女の名前を口にした。

「あまり詳しくは知らないけど、別に何もなかったんじゃないかな?ピアノのレッスンをしてたって言っても、ティアスと一緒にいるようになってからはあまり待ち合わせて一緒に行くってこともなかったみたいだし。仲は良かったみたいだけど。受験があったはずなのに、会う回数は減ってた気がする」
「よかったんだ?」
「悪くはなかった。……と思う。もともと、そう言う話はしなかったし」

 泉や新島達と話すとき、話題には上ってたけど、その回数も減っていった。

「そうか……。彼女、ねえ……。まあ、難しそうだけど。楽しそうだった、テツは」
「ヤバイくらい?にやけてたし、なんかネジ一本緩むどころかって感じ?」

 そう言ったら、イズミが嬉しそうな顔になったのに、少しだけ驚いてしまった。

「縁ってヤツは、ホントにあるのかもね。あったら、良いものかも知れないな。ミハマが言うように……。いや、ミハマが……」

 言ったから、だと。
 彼の言葉を、イズミはかみしめる。どんなに対等なフリをしていても、逆らうような顔をしていても、イズミは彼に心酔していた。それだけは、はっきりと判った。
 それが王と臣下の関係だというのなら、あまりにクレイジーだった。
 自分よりも何よりも、彼の言葉、彼の思い、彼の意志が全て。
 イズミのサワダに対する態度は、友人を心配し、ひねた感情で動く、子供のようなモノだと理解できるのに。ミハマに対する態度は、妄想的 な信者のようだ。

『でも、あんな子だとは思わなかったな』

 あの、彼の台詞を、子供のような目を、イズミが知ったら、一体どういう態度に出るんだろう。そう思うと少しだけ怖かった。
 prev<<<  Switch[The moratorium is selected] list  >>>next
 >>>アルファポリスに登録中。
 >>>ネット小説ランキング>「Switch【モラトリアムを選ぶと言うこと」に投票
 >>>「小説家になろう」にて連載中。ぜひレビューお願いします。

関連コンテンツ

 >>Switch Charactors(イラストつきキャラ紹介)
Copyright 2006-2009(C) Erina Sakura All rights Reserved
このサイトの著作権は管理人:作倉エリナにあります。禁無断転載・転用