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Switch[モラトリアムを選ぶと言うこと]

Switch[モラトリアムを選ぶと言うこと] 序章 第7話  選ぶと言うこと 05/10


 親戚は、一番近くて一番遠い他人だと。それを言ったのは果たして誰だったろうか。遺産相続で酷い目にあった人が、そんなことを言っていたような気がする。
 まさにこの二人はそんな関係なのだ。

 叔父と甥の関係であり、王子とその補佐役である元老院議員であり、共に友人であり息子であるサワダを心配しているくせに、まるで子供のようにケンカをしている。
 それが判っているから、サワダの前では(多少)遠慮している。でも、いなくなった途端にこうなってしまうと言うわけだ。

 ……イズミのヤツ、とんでもないところに置いてったな。ちくしょう。

「彼女を、どうするつもりだい?ホントは」
「……ホントは、特に考えてなかったんです。まあ、話くらいはしてみようかな、と」
「正直で結構なことだね」

 サワダ父は、さっき他の連中の前で言ったのとは全く違う顔で、同じ台詞を言った。気のせいか、少しだけ楽しそうにも見えた。

「どうしたの、アイハラ?大丈夫?真っ青な顔して」
「いや……うん、まあ。それより、戻らない?」

 真っ青にもなるよ。さっきから変な汗が止まらないんだから。何も言えないし、緊張しすぎて……。

「そうだね。ちょっと遅くなっちゃったかな。何度も呼び出し入ってるし」

 ポケットから携帯をとりだし、確認をしていた。その様子を見て、サワダ父も同じように携帯を見ていた。お互い、忙しい身のはずなんだけどねえ……。

「……ティアスって言いましたっけ?彼女」

 携帯から目を離し、ちらっとサワダ父を見た後、一瞬だけオレの顔を見た。

「目を覚ましたそうですよ。命に別状もないですし、普通に喋れるそうです。良かったですね」
「……思ったより、頑丈だね。何より」
「預かっているんでしょう?もう少し心配されたらどうですか?」
「たかがあの程度の魔物に手こずるような子供には興味がないよ。うちの息子も、まだまだ」

 判りやすく、ミハマがサワダ父を睨み付けた。
 さっき、彼を気遣う言葉はかけなかったのに。

「強くなければ生き残れない。これから、もっと大変なことが起こる。君はよく判っているのに」
「でも、テツはそれを望んでるわけじゃない、必要にかられてるだけですよ」
「君のそばにいるのは良くない。あの子がどんどん弱くなってしまう。悪影響だね」

 サワダ父も、判りやすくミハマに悪意を向けた。
 イズミとサワダの怪獣対決なんか、蟻の戦争並に小さいことのように思えた。

 でも、これからもっと大変なことが起こるって?今以上に?
 いや、この、中心部に現れた魔物って言うのは、その予兆なのか?

「……地震……?」

 地面が微かに揺れた気がする。

「よく判るね、アイハラ。こんな微かな揺れなのに。揺れてるのは判るけど、もう、地震なのか爆発による揺れなのか、オレ達にはよく判らないや」
「最近地震多かったから、なんか過敏になってて」
「最近?ああ、君がいた……うん、そうだろうね」

 まるでミハマは、オレのいた時代のことを知っているような顔で、オレを気遣う笑顔を見せてくれた。
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