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Switch[モラトリアムを選ぶと言うこと]

Switch[モラトリアムを選ぶと言うこと] 序章 第5話  穴二つ 01/08


 ニイジマに連れられ、楽師の広間に戻ったが、一つだけ開いている扉の側には、未だイズミが立っていた。

「あ、戻ってきた。アイハラ、ミハマの所に戻るよ」

 もしかして、オレを待っていたんだろうか。……いや、待ってたっつーのは語弊があるな。たんに、オレを引っ張ってかないと、何をしでかすか……てとこなんだろうな。

「……いやでも、……サワダが」
「良いから、口答えすんなよ。もうすぐ懇親会が終わる時間だから、ミハマを連れてこないと」

 何かもう……。さっきはサワダで、今度はミハマさんかよ。
 目の前のオレにも、もう少し気を遣えっつーの!

 再び元来た道を逆戻り。しかもイズミはわざと早足でオレを連れまわす。
 ニイジマも軍人っぽくきびきびとした歩き方だったけど、こんなに速く歩かなかったぞ。

「なあ、ホントに楽師殿と二人っきりにしといて良いの?」
「どういう意味で?」
「いや、だから……あの人は、中王軍の人で、サワダはオワリの武将なんだろ?」
「ふうん」
「ふうんて!だってミハマさん言ってたぞ!『敵も味方も、どこにいて、何をしてるか判らない』って。そういうことじゃねえ?オワリ国が置かれてる立場って」
「へえ」

 気のない返事しやがって。

「オレはてっきり、テツにやきもち焼いてんのかと思った」

 ……何でばれた?!何で?!

「……何で、ものすっごい意外そうな顔してんの?バレバレじゃん?」
「いや、何でそうと決めつけんだよ。自分は何でもお見通しって顔しやがって!違うっつーの、そんなんじゃねえ!!」
「そうか?だって、アイハラって判りやすいんだもん」
「何が?」
「あの楽師殿の顔、知ってるんだろ?」
「知らないよ。見せてくれないし」
「てか、見せてくれるわけないし。何だ、てっきり知り合いかと思った。だって、ニイジマ中尉もお前の知り合いのそっくりさんなんだろ?」
「うん。でも、ちゃんと軍人だった」
「当たり前だよ。ニイジマ中尉は死神の傍になんかいるけど、経歴だけ見たら、出世街道まっしぐらだ」

 人の顔なんかちっとも見やしないくせに、しっかり人の変化を読みとってやがる。コイツ、ホントに食えないっての。
 ティアスのことが、疑われてないみたいでよかったけど……。

「何で死神なんかって言い方?あの人の側って、出世できないの?」
「無理無理。だって、彼女は組織を外れてるし。微妙だけどね。中王のお気に入り、だけど窓際って所かなあ。ニイジマ中尉って、士官学校も成績よかったらしいし、飛び級て珍しいし、何より、戦闘能力が高いんだ。こないだの武術大会でもかなり良いとこまで言ってるし」
「武術大会で良いとこまでいってんのが、出世できるってコト?」
「そ。中王の趣味らしくてさ?戦果を挙げた人とか、武術大会で好成績をあげた奴とか、判りやすく出世してくんだ。何より、ここの将官クラスにはおかしな制度もあるしね……」
「おかしな制度?」

 早足で移動していたので、もう懇親会の会場に着いてしまった。
 会場の外に出ている人も何人かいた。

「殿下!もうお戻りですか?」

 ……でんか!?殿下って誰!?しかも敬語?!イズミがそんなの、気持ち悪!
 目の前にいたのはミハマさんとシュウジさん。それからオワリの王とその側近3名。

「うん。今終わったから。父上、少し寄りたいところがありますから、お先に失礼します」

 殿下って、ミハマさんのコトね。父王に挨拶をして、ミハマさんはオレ達を誘導した。その後ろに、シュウジさんが小走りでついてきた。

「テツは?」
「なんでだか死神様と一緒。そんな心配しなくても、大丈夫だって」
「心配なんかしてないって。本人は平気だって言ってたんだから」
「はいはい。テッちゃんにはそう言っといてあげますからねー」

 ここまで扱いが違うと、一種のいじめだよな。
 確かに、『王子様』のミハマさんへの態度がいいのは判らないでもないけど、ここまで扱い違うかな?なんか、人として扱ってさえもらってない気がする。

「アイハラはどこ行ってたの?」
「……ニイジマ中尉と話を」
「そう。ちゃんと話せたみたいで、良かった」

 ミハマさんは鍛えられてないオレのスピードに合わせて、ゆっくり歩いてくれ、しかもオレが勝手に動いたことですら、笑顔で喜んでくれた。てっきり嫌な顔されると思って、覚悟して言ったのに。

「楽師殿に、『時間の良いときにいらっしゃい』って」

 だから、言うつもりの無かったティアスの台詞も、思わず言っていた。

「そう。君も彼女の歌を気に入った?オレは、好きだなあ」
「……うん」
「オレもなるべく時間をとって、ここに来たいんだけどね」

 ん?だとしても変な反応じゃないか?

「ミハマにもそれ言ってんだよ、『いつでもどうぞ』なんつって。意外と食えない女よ?彼女」

 意地悪くイズミが笑った。オレと歩いていたときとはうって変わって、ミハマさんより半歩下がってついてきていた。

「別に。だって、ここのエライ軍人なんだろ?」
「よく判ってんじゃん」

 彼女に対する思いも、彼女のことも、口にしちゃいけない。ティアスはみんなに優しい、みんなを受け止めてた。オレの知る彼女は、そう言う女だった。つき合ってるはずの彼に対してですら、そう見えてた。
 だから、こっちの彼女がそうだとしても、何も気にすることはない。

 オレと彼女は秘密を共有してる。
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